たった1つ
たった1つの成功体験を武器にして
なんとここまでやってきてしまった
たった1言褒められて
パッと嬉しくて破顔したその炸裂の速度で
今日まで吹き飛ばされてきたんだ
ここはどこだ
僕は今何者としてここにいる
あの人はどこにいった
なんと心許ない
周りを見渡す
ポケットに手を入れて何かないかと探す
記憶にないレシートの山だ
僕はいつの間にこんな額の金を使ったんだ
正気じゃない
正気じゃなかったんだ
ここからは僕に歩いて行けというのか
ならば歩こう
踵を心臓にして
今僕の後ろから
たった1つ
たった1つの成功体験が
閃光になって
飛んでいく
なんて
嬉しそうに