ご自愛ください


verse.1

角があまりにも尖っているから

ぶつかって君のカタチが変わってしまっているよ。

すごくもったいないから放っておけなくて

せめて置いていくように壁伝いの子守唄を。

 

暗闇がどうしても耐えられない夜がある。

無数の声が喉の裏側をよじ登ってずっしり寄りかかる。

きっとあっちも不安だからよく喋るんだよ。

まずは深呼吸をしよう。

そして一緒に伸びをしよう。

 

君はゆるという言葉が苦手で、

ゆるい ゆるやか ゆるゆる 緩む 許すという言葉が苦手で、

落ちるのが怖くて必死に掴んでる縄梯子。

重力は床が支えてる。

大丈夫。手をお放しよ。

 

穏やかな優しさ程度じゃあ物足りず不感症になり

チクリとする刺激物やスパイスを使って頬を叩く。

ホントはそうじゃなく大きく丸いパン生地のあなたは

発酵が必要。

どうかご自愛ください。

 

 

君はいいこさ。ねんねしな。今日も。

古いお土産のでんでんだいこも鳴れば

優しさが伝染し合うように触れて

揺れた。

 

verse.2

ありとあらゆる寝具の上は独立国家だ。

座椅子でもハンモックでも君が床に就こうと思ったら

君はそこの王になり

思いっきり思うままに手足を伸ばす権利を持つ。

それは特別じゃない。Ordinary

 

見えないかもしれないけど周りに城壁があってすごく丈夫。

だからライオンも大砲も罵詈雑言もやってこない。大丈夫。

見えるだろう。動く歩道の先の青い扉を。

目を瞑って構わない。

踵を投げて飛び立とう。

 

柔らかな雨。割れた空に天使のはしご。

もうすぐ海が見える。

イルカが跳ねたぞ。さぁ走ろう。

まっ白い象の上、小さなくじらが詩を朗読。

後方に強く意志を持って煌煌と燃える蝋燭。

 

美人姉妹が切り盛りしてる甘い匂いのパン屋。

さっきから笹加えてやたら触ってくれるパンダ。

虹色極楽鳥のお気に入りのアトラクションでデート。

全身の筋肉が溶けちゃうくらい甘いチョコレート

 

優しさこそが私たちが渡し合いたいもので

さぁ広い小麦畑の奥にランナウェイしようよ。

 

ゆるやかに揺れて

緩んだ指や首が

甘い麦になるのを許して。

どうせ同じ時間なら笑えばいいじゃん。

今は今。

viva la vida

君は素敵だよ。

 

 

ring ring ring 

ほら虫の音が聞こえるよ。

日没のようにゆっくりと訪れる凪こそギフト。

だから今は確認事項

を終えたら休みにしよう。

心に着地地点を

身体にジャスミンティーを。

 

ご自愛下さい。

まずはパジャマにお着替え下さい。

ご自愛下さい。

ねぇ明日のあなたにご期待下さい。

いいんだよ。

心配せずスイッチを切っても。

今日が終わるよ。

だから今は振り返らずに。

どうかおやすみ。

おやすみなさい。